トレンド、つまり流行を知ることはデザイナーに限らず様々なシーンで求められる能力である。個人としても組織としても、早めに流行を知ることができればより早くユーザーのニーズを掴むことができるし、早めに流行に合わせた製品やサービス開発に時間やリソースをかけることができる。
され、では流行を知るにはどうしたらいいのだろう。今の流行を知るのはそれほど難しくはないが、未来の流行を知るにはどうするべきだろう。
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もちろん未来を完璧に予想することはできないが、比較的高い確率で予想することはできる。次の二つの視点で過去を振り返れば、未来もある程度予想可能なのである。
- 短期的には反転を繰り返す
- 長期的には良くなる
反転を繰り返すというのは過去の歴史の様々な出来事を振り返ればわかりやすいだろう。アールヌーボー時代の次にアールデコが来たのなどはかなり古い例だが、ここ数十年の動きに限って言えば、UIデザインの流行などは、リアルを追求したスキューモーフィズムの後に、単純化したフラットデザインが来て、その後再びわかりやすさをやや重視したマテリアルデザインへと移っていった流れは高齢といえるのではないだろうか。
そもそもこのような流行の変化はなぜ起きるのか、それは個人や組織が抱きがちな2つの思いに由来するだろう。
- 〇〇っぽくありたい
- 〇〇のなかで目立ちたい
立ち上げたばかりの会社を想像するとわかりやすい。彼らが最初にやりたいことの一つは会社の立派なロゴを作ることである。このようなときにロゴデザインは会社のロゴっぽいデザインになる。なぜならしっかりとした会社っぽく見られたいから。これが〇〇っぽくありたいの例である。周囲と同じ行動、つまり右へ倣えは安全を考えたときには論理的な選択なのである。
ただ、右へ倣えは安全のためには正しい選択でも、成功のためには必ずしも正しいとは言えない。なぜなら競合の多い世界では、成功のためには目立たなければならないからである。これが○○のなかで目立ちたいという思いである。
〇〇っぽくありたい人や組織は流行のど真ん中を狙う一方で、〇〇のなかで目立ちたい人たちは流行からあえて外すのである。
しかし、流行からあえて外した人や組織が成功者として認知されると、その後大多数がそれに倣うこととなるのだ。このようにして流行は反転を繰り返すのである。
ただし、同じ箇所を行ったり来たりしているわけではない、反転を繰り返す過程で、本当に不要なものは少しずつ削ぎ落とされ、時代や文化のなかで新しく必要になっった要素が少しずつ取り入れられていくのだ。これが長期的には良くなる理由である。
こうやって様々な世の中の出来事を振り返ると、5年後、10年後、どんな方向に向かうか予想ができるのではないだろうか。